JKA補助事業:成果報告

バンブープラスチックの開発と竹粉微細化による衝撃特性の改善
by 研究代表者 合田 公一

竹紛強化プラスチック基複合材料(バンブープラスチック)の機械的性質に及ぼす竹紛の微細化効果について調査した. 竹材を粗粉砕した竹紛を212~106μmの範囲に分級し,これを常温で,または冷凍したあとすぐさまロータースピードミルで80μm以下に微粉砕した. これらを1wt%の割合でポリプロピレンと混練したのち,コンパウンドを試験片形状に射出成形した. 図1に冷凍粉砕竹紛複合材と常温粉砕竹紛複合材の応力−ひずみ線図の結果を示す. 冷凍粉砕竹紛複合材は常温粉砕竹紛複合材比べて耐力や引張強度が上昇することがわかる. 引張強度の増加は竹紛の凝集による応力集中が緩和された結果と考えられる. また,常温粉砕竹紛より微細化することで破断ひずみがさらに上昇することも判明した. また,引張試験結果を木粉/PP(1wt%WF/PP)複合材料の結果と比較して表1に示す. 微細化により破断ひずみの上昇はWF/PPよりも優れることが判明した.
表2に射出成形された各短冊型試験片のシャルピー衝撃試験結果を示す. 試験数は各条件4〜5本である. ノッチなしについてみると,212〜106μm分級竹紛複合材より常温微粉砕竹紛複合材において衝撃強度の向上が見られた. 引張強度では差異があったが,冷凍微粉砕竹紛複合材は後者とほぼ同等である. 一方,WF/PPはこれらに劣る.(PP単体は破断せずに曲がるのみであったので,ここでは値を示していない)ノッチ有りの場合はノッチの影響があり,衝撃強度はどの試験片も大幅に低下する. なお,本材料を40%含有ガラス繊維強化プラスチックのノッチなし試験体結果と比較すると,若干劣るものの,ほぼ同レベルの値が発現されることがわかった.
最後に,本研究は公益財団法人JKAから補助を受けて実施していることを付記し,感謝の意を表します.
図1 冷凍粉砕竹紛複合材と常温粉砕竹紛複合材の応力−ひずみ線図の比較(竹紛はともに1wt%)



トップページへもどる